踏み出す一歩|ぬくもり3-26

 まただ。葵はそう思った。なぜいつも、よりによって自分にばかり皆が相談してくるのだろう。勿論、恋愛の話は苦手ではない。長年連れ添った旦那に、胸のときめくはずもなく、いつも誰かに密かな想いを寄せて、乾いてしまいそうな心を潤わせているのであった。橘葵にとっての恋は、叶わないから楽しめる恋なのだ。ああだこうだと夢見るだけで、心がぱっと華やいでいく。運命の二人ではないのか。本当は相思相愛の関係。来世でこ…

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