総会|ぬくもり3-43

 生命。何と不思議な存在であろう。広大な宇宙にぽつんと浮かんだ青い星で、あらん限りの、多種多様な生き物たちが日々のいとなみを繰り返している。生まれ、食し、成長して子孫を残す。争うことも、助け合うことも、特に人類においては、愛し合うことも、憎み合うこともあった。生物学的な生命ではなくて、心を持つ生き物としての生命が正に奇跡だった。心とは、一体何であろう。思考や思想、知性や理性、記憶や意識などと表現…

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涙の自動改札|ぬくもり3-42

 人の恋路に踏み込んで、興味本位でもの申すほど、葵も画伯も野暮ではなかった。だが、小紅螺のことともなれば、やはり見て見ぬふりもできない。白竜行きの電車内で、あんなに仲睦まじかった二人が、誰の目にも余所余所しく見えていた。帰りの電車は、彼女たち二人や美玲と一緒に、四人掛けの座席に腰掛けてきたのだ。友則とは離れた位置で、彼の隣には翔太が座っていた。何があったのか。否、何もなかったことが原因なのか。遠…

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花吹雪|ぬくもり3-41

 夜が明けようとしている。鬼ヶ島は、原型をとどめないまでに破壊し尽され、公海上に浮かんでいた闇商人の客船も深海の改定に沈んで突き刺さっていた。どちらも悪党どもに生存者はない。だが、あれほどの大爆発を起こしていながら、機動部隊の側には殉職者が出なかったのだ。白竜浜は、束の間の静けさを取り戻していた。時を経ずして、遺体の回収と現場検証が島の内外で始まるだろう。マスコミも、大挙して押し寄せてくるはずだ…

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