密告者|ぬくもり3-31

 夕食の弁当は、手付かずでコタツの上に置かれたままだった。初めて休みを取る凪乃は、慌てて洋服に着替えると、古い三面鏡の前に正座して入念な化粧を始めていた。渚から借りたイヤリングが。鏡の中の自分を見詰める彼女の心を華やがせたのである。ベッドの枕元で時を刻む目覚まし時計も、その鏡の一部に映っていた。もうすぐ迎えの時間なのだ。左右の反転した文字盤の針が、意地悪に逆回りして、時を贈らせているかのように感…

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